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    "0": {"Description": "", "Icon": "0", "Image": "0", "Name": ""},
    "1": {"Description": "　かつて王宮の掃除役を務めていた「シルキー」が、まさか母上の使い魔であったとはな。生前の母上をよく知るパパシャンなら、どういう経緯があったのか知っているやもしれぬと、少し話を聞いてみることにした。むろん探索については気づかれないよう、それとなく、な。\n\n　パパシャンが言うには、母上は大層な綺麗好きであり、王宮に入られてからも、ご自身の手で掃除をしていたらしい。これを見て慌てたのが侍女たちだ。王妃の手を汚してはならぬと、掃除道具を隠すことまでしたという。これに対して母上は、自らの手で掃除できぬならと知都出身の魔道士を招いて術を学び、共に巨大な清掃用使い魔を作り上げたのだとか。汚れありと見るや、銀冑団の近衛騎士すら追い立てて掃除を始める様は、なかなかに観物であったが、いつの間にやら王宮から姿を消していたとのこと。\n\n　おそらく、共和派との対立が深まる中で、思い出の地を訪れる時間を取ることも難しくなり、保守を任せたといったところだろうか。しかし、母上も大胆なことをするものだ。清掃用に使い魔を作ることもそうだが、あれほどの力を持たせるとは……奔放にも程があろう！", "Icon": "70501", "Image": "70401", "Name": "使い魔の主"},
    "2": {"Description": "　今後の探索に役立つかと思い、わらわは王宮の書庫でシラディハに関する記録を紐解いてみることにした。だが、王宮で保管されている記録ゆえ、すでに承知している情報が出てくるばかり。しいて目についたものといえば、ゾンビー掃討の折、アマルジャ族と共闘したウルダハの兵が記した報告書ぐらいか。そこには、アマルジャの勇士とウルダハの兵とでは、戦い方に相違があり、連携をとることに難儀している旨が書かれておった。\n\n　当時、シラディハ水道にあふれていたゾンビーは数が多く、強さにはばらつきがあったという。件の兵は、手ごろな個体から相手取り、まずは総数を減らすことに尽力すべきだと考えておったが、アマルジャ族は見るからに強力そうな個体へと戦いを挑んでいたそうじゃ。そこで、なにゆえそのような戦い方をするのか、アマルジャ族に尋ねてみたらしい。曰く、強い敵から相手取ることが己の力を示す最上の戦法だと考えており、弱い敵から倒すのは自信のなさの表れとみなすのだと。\n\n　結局、彼らは互いの思想を尊重しつつ、各々の好む戦法を採ったという。すなわち、ウルダハの兵は弱い個体から狙ったということだ。果たしてこの情報が役立つ場面があるかはわからぬが、記憶にとどめておくことにしよう。", "Icon": "70502", "Image": "70402", "Name": "誇り高き戦士の流儀"},
    "3": {"Description": "　王族である父上と、小さな商家の生まれである母上が出会われたのは、商人たちとの交流を目的とした、王宮主催の晩餐会だったという。たちどころに恋に落ちてしまわれたというのだから、なんともロマンティックな話よ。そんなふたりが婚前に逢瀬を重ねた場所は、人目を気にせずにすむ「秘密の花園」であったと聞いたことがある。そこは、地下深くに埋没しながらも、陽の光が差し込む花園であったと……そう、まさに此度の探索で訪れた場所のことであろう。\n\n　おふたりの婚約が発表された折、父上が母上にプロポーズをなさった場所はどこなのか、いろいろと噂が飛び交っていたそうだ。その騒ぎに乗じて、商売に利用する不届き者が後を絶たなかったとも伝わるが、ウルダハ商人の商魂たくましさは今も昔も変わらぬということだろう。真相は終ぞ明らかにならなかったそうだが、此度の場所を訪れてみて、どうりで見つからぬわけだと腑に落ちた。\n\n　ザナラーンの乾いた砂に埋もれてなお、花々が芽吹く陽だまりの中で、若き日の父上と母上が仲睦まじくされている姿が目に浮かんでは、自然と笑みがこぼれる。おふたりのことを笑顔で思い起こせるようになるまで、ずいぶんと時間がかかってしまったものよ……。", "Icon": "70503", "Image": "70403", "Name": "陽だまりの中で"},
    "4": {"Description": "　銀細工の鍵は、5歳の誕生日に父上と母上からいただいたのだが、どこで使うのかは教えてくださらなかった。貴方が素敵なレディに成長したら、この鍵に守られている「思い出の場所」へ連れていってあげるとだけ、母上はおっしゃっていた。そして父上は、ウルダハにとっての「思い出」もまた、そこに眠っているのだと語られていたが、幼いわらわにとっては、「すぐに開けぬ贈り物」で焦らされているように感じられてな。当時はふてくされもしたが、今となっては、それもまた大切な思い出となっている。\n\n　その後ほどなくして、父上と母上は、ザル神の御許へと旅立たれてしまった。前触れもなく両親と引き離されたわらわは、さまざまな思惑の渦中で王位を継承し、悲しみと不安に苛まれる日々を過ごすことになる。ときに熱く、ときに冷たい砂に足を取られながら歩み続けるうち、わらわは約束のことも、鍵のことも、そして思い出の場所のことも、すっかりと忘れてしまったのじゃ。\n\n　5歳になったばかりの未熟な娘に、なぜこの鍵を贈られたのか。まもなくして訪れる「事故」を予感されていたのか、それとも……。おふたりの想いは、もはや知る術もないが、今この手に鍵が遺されていることに、きっと意味があるのだろう。", "Icon": "70504", "Image": "70404", "Name": "鍵と約束"},
    "5": {"Description": "　シラディハ水道でのゾンビー掃討の折、共闘に応じたアマルジャ族によってザハラク戦陣が設営された。あれが本営ならば、此度の探索で発見した拠点跡は前哨基地といったところか。父上と母上からいただいた鍵で秘匿されていたとなると、父上の遺された日記にあった「アマルジャとの共闘の証」と、何か関係がありそうだ。\n\n　生前、父上は「獣人排斥令」の公布に反対されていたという。一方で獣人排斥によって利権を確保しようとしていた共和派は、砂蠍衆による後押しを利用することで、王の意に反して新法の公布を強行。これに対して父は、世論を動かして抗おうとしたらしい。容易に捏造できる文献や記録ではなく、物的な「アマルジャとの共闘の証」を示すことで、人々に融和を訴えかけようとされたのだ。だが、その計画は、父上の「事故死」によって、実現することなく終わってしまった。\n\n　その「証」が何であるのか、今もどこかに存在しているのか、わらわにもわからぬ。しかし、あの拠点跡にもしも手掛かりがあるとしたら……。親孝行のひとつもして差し上げられなかったが、アマルジャ族との融和の機運が熟した今、父上に代わって、悲願を果たすことはできぬだろうか。かの地で「証」の行方が、わかればよいのだが。", "Icon": "70505", "Image": "70405", "Name": "父上の悲願"},
    "6": {"Description": "　棺に納められていたアマルジャの勇士が、ゾンビーと化しておるとは。おそらく、ゾンビーとの戦いで受けた傷により、肉体を蝕まれたのであろう。\n\n　人を死霊と化す禁忌の秘薬「ゾンビパウダー」。かつてウルダハは、自国の呪術士が作り上げたこの非道な秘薬を、シラディハとの戦争に利用した。しかも、時の王ササガンIII世は、シラディハ側が自国民を不死の兵とするために開発したものだと虚偽を流布した上で使ったのだ。その罪を巡って、のちにササガンIII世はソーン家から告発を受け、第一期ウル朝は終焉を迎えるわけだが……その嘘偽りは、今もなお通説となり根付いている。\n\n　ウル朝の権威を保ちたい王族の意図、呪術士と強く結びついたナル・ザル教団の思惑、様々な想いが歴史を嘘で塗り固めてきた。自らが棲まう都が、非道な行いによって破壊された都の上に築かれたものであるという事実は、多くのウルダハの民にとっても認めがたいのであろう。しかし、過去をふりかえらねば、正しく明日へと歩むことなどできまい。あのアマルジャ族の姿を思い出しては、ウルの名を継いだ女王として責任を感じずにはいられぬ。イシュガルドのように、たとえ苦しむことになっても、歴史を書き戻す時が来ているのではないだろうか。", "Icon": "70506", "Image": "70406", "Name": "ウルダハが負うべき罪"},
    "7": {"Description": "　シラディハ水道での一件に関して、アマルジャ族に尋ねたいことがあったのだが、彼らとの定例会議の折に、議題として提示するわけにはいかなかった。わらわがこっそりと王宮を抜け出して調査を行っていたことが露見すれば、協力してくれたあの者にも迷惑がかかってしまう。\n\n　それゆえ、会議を終えたあとのひととき、出席していた酋長と他愛ない「雑談」を交えることにした。ウルダハ領内において発見された棺から、ゾンビーと化したアマルジャの勇士が現れたことを説明し、その者をどう弔うのが正しいのか、アマルジャ族の流儀を知りたいのだと、教えを乞うたのだ。すると酋長は、何であれ、勇士の眠りを妨げぬことが重要であると語ってくれた。蓋を開けて、中を確かめるようなことはせず、まずは棺へ向かって祈ることが肝要であると。「猛き御霊に一礼し、黙祷を捧げて、その武勲によってもたらされた勝利を喜び、敬意をもって膝をつくべし」……これが、戦場で散った同胞に捧ぐ、弔いの手順だという。そして、最後にミルラの香を焚いてやれば、御霊は浄化されるそうだ。\n\n　こうして話を聞くたび、アマルジャ族について知るべきことはいまだ多いと痛感させられる。彼らの文化や慣習に触れて、理解を深めていかなければな。", "Icon": "70507", "Image": "70407", "Name": "祈りとミルラ"},
    "8": {"Description": "　ベラフディアから分裂し、対立を深めていったウルダハとシラディハ。その結末は歴史に語られる通り、ゾンビパウダーによるシラディハの滅亡によって幕を閉じた。のちに、ウルダハはシラディハの都があった場所へと遷都したゆえ、現在の都周辺や地下深くには、かの国の遺構が残されておる。上下水道を整備した折にも遺構を利用したため「シラディハ水道」と名付けられたそうだが……両国の対立が水源を巡る争いで激化したことを思えば、なんとも皮肉めいたものを感じずにはいられぬ。\n\n　遺構を利用した水道ともなれば、別の遺構へ繋がっていたとて不思議ではないが、まさかシラディハの王宮らしき場所へと続いていようとはな。地上に露出していたなら、ザナラーンの熱い日差しと砂含みの風に晒されて、風化が進んでいたことだろう。しかし、地下深くに埋没していたおかげで、まるで時が止まったかのように保存されていた。\n\n　あれほどまで状態のよい遺構は、そう簡単には見つからないだろう。それゆえ、史学者たちにとっては、重要な調査対象となるはずだ。ただ、あの入り組んだ水道に惑わされては、あの遺構へとたどり着くのは難しかろう。まずは道のりを整えてやらねばな。", "Icon": "70508", "Image": "70408", "Name": "ウルダハとシラディハ"},
    "9": {"Description": "　シラディハの国旗を目にしたとき、ウルダハとシラディハの初代国王が双子であったことが改めて思い起こさせられた。しかし、両国の国旗が似通っているのは、なにもそれが理由というわけではない。ベラフディアの時代、審理の天秤には聖火と葡萄が並んでおった。のちに、ウルダハは力を象徴する聖火を、シラディハは知恵を象徴する葡萄を受け継ぎ、富を示す宝石と力を示す大兜によって、それぞれ天秤の均衡を図ったという。そうして、両国がベラフディアと類似した国旗を掲げたのは、自国こそが正当な後継者であると主張するためでもあったのだ。\n\n　双方とも「力」を国旗に掲げてはいるが、ウルダハの力は「魔法」であり、シラディハの力は「武術」と、その性質は大きく異なっておる。我が国のコロセウムに集う剣闘士たちの在りようは、かの国の掲げる「力」に近しいものやもしれぬな。\n\n　今にして思えば、最後に待ち構えていた無骨なガーディアンは、かの国らしい様相であった。頭部を守る大兜に施されていたのは、繊細な葡萄の装飾。そして、シラディハの天秤と同じ白銀色の体は、薄暗い地底にあってなお、眩く輝いておった。だが、とうにシラディハは滅びておるというのに、仕える主を失ってなお王宮を守り続けていたとは、物悲しいものよのう。", "Icon": "70509", "Image": "70409", "Name": "国旗に掲げるもの"},
    "10": {"Description": "　長年、地中深くに封じられていた遺構に、盗掘者が入り込んでおったとは驚いたものよ。入口の扉以外に、侵入できそうな場所など、見当たらなかったというのに。だが、あの複雑な構造を思えば、未だ把握できていない入口があっても不思議ではないか。\n\n　それにしても、盗掘者が残していったのであろうあの走り書き……今にして思えば、「ナナシャマラカイト」を示していたようにも感じる。それが秘された場所へと至る鍵なのだろうか。だが、よりにもよってナナシャマラカイトとは、まったく複雑な気持ちにさせられる。\n\n　第七霊災後の復興特需に対応するため、再開発が進んだカッパーベル銅山……そこで産出される高品質のマラカイトに「ナナシャマラカイト」と命名したのは、ウルダハの宝石商たちであった。母上がご健在ならまだしも、亡くなられた後になってその名を引き合いに出して商売をされては、不快感を覚えるのも当然であろう。\n\n　だが、ナナシャマラカイトが献上された折、不覚にも、その柔らかな輝きが母上の優しい瞳と重なって見えてしまった。あの美しい翠を前にしては、悔しくも、その名を認めるほかなかったのだ……。", "Icon": "70510", "Image": "70410", "Name": "母上の瞳"},
    "11": {"Description": "　遺構で見つけた紙切れの裏面には、「シラディハ水道」「ソーン朝」「保管庫」という単語が走り書きされておった。盗掘者は、ソーン朝時代の保管庫がシラディハ水道にあるとでも考えていたのか。だが、ソーン朝は清廉潔白さで知られていた。現在の第二期ウル朝への移行ですら、ソーン朝の王の意向によるものであり、王家の財宝を不法に持ち出すようなこともなかったと伝え聞く……。仮に、ソーンの一族が財宝をいずこかへと隠したのだとしても、ウルの一族に同意を得ていたことだろう。だとすれば、歴代のウルの王たち、そして父上は何かご存じだったのやもしれぬ。\n\n　父上は、あの鍵を贈ってくださった折、ウルダハにとって重要な「思い出」が鍵に守られた地に眠っているとおっしゃっていた。そして、それを成長したわらわに見せたいと……もしや、それのことなのだろうか。\n\n　いろいろと考えを巡らせてはみたものの、どうにも憶測の域を出ぬ。少なくとも此度訪れたあのシラディハの王宮らしき遺構に、それらしい場所は見当たらなかったが、父上のお言葉を踏まえれば、どこかに未だ眠る何かがあるのやもしれぬな。", "Icon": "70511", "Image": "70411", "Name": "ソーン朝の宝物庫"},
    "12": {"Description": "　シラディハ水道で発見したのは、財宝が眠る保管庫だった。残されていた目録の冒頭には、「民と隣人のためにウル王家へと引き継ぐ」という宣言とともに、ソーン朝最後の王の名が記されている。続くページには歴代の王たちの名が連なり、その最後、父上の署名が記されたページには、色褪せた一通の手紙が挟まれていた。「この手紙を読む者が、愛しき娘ナナモであることを祈る」……それは、まごうことなき父上の筆跡であった。\n\n　手紙には、この保管庫が王位継承者のみぞ知る場所であり、ソーン朝時代の「アマルジャ族との共闘の証」が保管されていると書かれていた。本来ならば王から王へと口伝される事柄だが、万が一の事態に備えて、手紙に遺されたのだという。\n\n　「ナナモは、どんなレディに成長したのだろうか。女王としての道は、お前を苦しめることも多かろうが、どうかこれだけは覚えていてほしい。お前は女王である前に、私たちの大切な、自慢の娘だ。今日もお前が柔らかな桃色に頬を染め、はにかんだ愛らしい笑顔を浮かべていることを、私たちは何よりも願っている。」……父上と母上の署名で、手紙は締めくくられていた。\n\n　父上、母上……どうか、どうか、ご安心ください。わらわは今、この瞬間を、笑顔で過ごしております……。", "Icon": "70512", "Image": "70412", "Name": "父上と母上からの手紙"},
    "13": {"Description": "　かつて、抜きんでた腕を持つ陰陽師の男がおりました。彼は呪具作りにおいて才を示す一方で、どこか抜けたところがあり、作った品をいくつも紛失していたそうな。そこで男は、必ず主の下に戻るという術を施した「失せ物防ぎの箱」を作り、呪具の保管に用いることといたしました。おかげで、箱ごと盗まれてしまった折にも無事に手元へと戻ってきたものの、それはあくまで箱だけのお話……悲しいかな中身の呪具は、すべて持ち去られていたそうです。\n\n　この陰陽師が作った失せ物防ぎの箱が、聖浄院にはいくつか存在しているとトキモリさんが仰っていました。それらの箱には呪具の力を抑え込む術もかけられていたそうで、「吸血の妖刀」や「萌木の土偶」といった品々を収めて管理していたようです。私が回収したものは前者の刀箱でしたが、後者の土偶を収めた箱は此度の騒動もあって行方知れずとのこと。くだんの土偶は、儀式用の小さな社に頭を垂れてから安置することで、周囲の草木に活力を与え若返らせる力を持つそうで、聖浄院では御神木の保護に用いていたのだとか。ただし、この土偶は扱い方を誤れば力が暴走し、お山に悪影響を及ぼすそうですから、見かけたら回収したほうがよいかもしれません。", "Icon": "70513", "Image": "70413", "Name": "陰陽師の失せ物騒動"},
    "14": {"Description": "　ひんがしの国が乱世であった頃のこと、数々の敵将の首を討ち取る一騎当千の荒武者がおりました。名をモウコ、猛々しき虎の如き常勝の猛者ではございましたが、あまりの強さゆえに主君が謀反を警戒……闇討ちに遭い、奪われた己の愛刀で首を落とされてしまったのです。そんな荒武者の恨みか、あるいは、これまで斬られてきた者たちの怨念か、その刀身は真紅に染まり、紙で拭いても研ぎなおしても、決して元の色には戻りませんでした。さらには、霊山の清水をもって浄化を試みるも、むしろそこから霊力を得ることで恐るべき妖刀と化し、手にした者を凶行へ駆り立てたのだとか。\n\n　この逸話における霊山とは、言わずもがな六根山のこと。実際、山奥には清水で満たされた湖があると、トキモリさんも仰っていました。その一帯は山中でもとりわけ霊力が濃く、重要な品々を奉納する社も置かれているようです。「いわくつきの品」が収められている可能性は、高いと言えるでしょう。しかしながら、社へ至る方法を知るのは高僧のみ……そして、此度足を踏み入れた場所にはそれらしき社は見当たりませんでした。今できることがあるとすれば、ほかの道を試すことぐらいしかなさそうです。", "Icon": "70514", "Image": "70414", "Name": "血濡れの妖刀"},
    "15": {"Description": "　戦国期に最強の名をほしいままにした荒武者モウコ。彼が生前に着用していた具足一式は、子孫によって大切に受け継がれておりました。ところがある日の朝、蔵で保管されていたはずのモウコの具足が、血まみれの状態で屋敷の庭にて発見されます。しかも、その横には物取りらしき男の死体がひとつ……。人々は先祖の霊が具足を纏い、蔵の財貨を守ったのだと噂しましたが、持ち主であるモウコの子孫にしてみれば、いつ動き出して暴れるのかと不安を感じずにはいられません。悩みに悩んだ末に、子孫たちは家宝たる具足一式を聖浄院に献納したと伝えられています。\n\n　東方では「万物に神が宿る」と申しますが、その実、自然発生したゴーレムやスプライト、あるいは妖異や死霊の類、はたまた霊性を獲得した瑞獣といった様々な存在が一緒くたに語られているのではないか、などと考えてしまいます。くだんの具足一式は、そのいずれであったのか。討ち果たされた今となっては真偽の程はわかりませんが、そこは霊力豊かな六根山。濃密な環境エーテルを吸い上げたのか、具足を依り代とした存在も、異様な巨体に膨れ上がっておりました。逸話に伝わる物取りのように、斬り伏せられずに済んだ幸運を、噛み締めている次第です。", "Icon": "70515", "Image": "70415", "Name": "鎧は黙して語らず"},
    "16": {"Description": "　シシュウ北部で農具を作っていたナナクサという名の男が、のちに刀鍛冶として広く知られるようになった成功物語は、ひんがしの国では定番の語り草。特に有名なのは四聖獣に着想を得た四振の連作……うち二振は、鎧の怪異が手にしていた「赤帝」と「青帝」であり、残りは「白帝」と「黒帝」と呼ばれている二振だそうです。これら四振は、その美しい刀身もさることながら、男が刀鍛冶として頭角をあらわすきっかけとなったゆえに、立身出世のご利益があると考えられているそうな。ちなみに「白帝」は、かの名刀「風断」と比較して語られることも多いと聞きます。\n\n　ツバキさんいわく、ナナクサが六根山付近に鍛冶場を構えていた影響で、シシュウ北部には鍛冶師が集まるようになり、今では名刀の一大産地となっているのだとか。そうして火を扱う職人が集うにつれて、火の神にまつわる祭事もまた増えていったようです。その筆頭と言えるのが、3つの灯篭に鍛冶師たちが火を灯す「三灯祭」……これは、過去・現在・未来の作に力が宿るようにと火の神に祈願する、という儀式のようですね。所以は様々ながら、「三」を縁起の良い数字と考え、ゲン担ぎとしてその数字を用いる、という説もあるそうです。", "Icon": "70516", "Image": "70416", "Name": "刀鍛冶の立身出世"},
    "17": {"Description": "　むかしむかしの話……ある職人が、自身の技のすべてを注いで「琵琶」を作ったそうな。あまりに見事な出来栄えに、並の奏者には譲れはせぬと渋った結果、お眼鏡にかなう者が見つからぬまま、月日だけが流れるばかり。ようやく使い手が見つかったのは、職人がすっかりと年老いた後のこと。ふらりと現れた奏者の女が、月の如く美しき一曲を披露してみせ、使い手に相応しきことを証明したというのです。以後、琵琶を手にひんがしの国を練り歩いた彼女は、名演に次ぐ名演で人々を虜にしていきましたが、職人が天寿をまっとうするやいなや、琵琶共々行方知れずとなったのだとか。人々は彼女の演奏を懐かしみながら、あれは「琵琶の付喪神」だったのではないかと噂したと伝えられております。\n\n　付喪神の在りようは様々で、顕現の仕方の違いもあれば、起こる事象の善し悪しも異なるようです。一般的に「いわくのある品」とは、そもそもが名品逸品の類であるため、好事家からの人気が高く、それに付喪神が宿るともなれば、さらに価値は跳ね上がるもの。ただし、それは琵琶のような善き付喪神にかぎってのこと。悪しき付喪神ならば、いっそ祓われてからのほうが買い手が見つかるという実情もございます。", "Icon": "70517", "Image": "70417", "Name": "楽器職人と美しき奏者"},
    "18": {"Description": "　とある農村に信心深い娘がおったそうな。不作となった年のこと、娘は腹を空かせながらも神々への供え物だけは欠かさず、豊作を祈願し続けたと言います。すると、ある晩に娘の夢に神仙が現れ、目覚めると不思議な小槌が枕元に置かれていたのだとか。これこそが「打ち出の小槌」。娘が祈りながら小槌を振るうと、湯水のように米が流れ出てきたと言います。かくして救われた娘でしたが、しだいに祈りも忘れ傲慢になり、大判小判を出して豪遊するようになっていきました。派手に遊べば噂が広まるのも道理、結局、彼女は小槌を奪わんと現れた赤鬼に殺されてしまったそうです。\n\n　小槌がなくともギルを増やす術はあると考えてしまうのは、商人だからでしょうか。ふと思い出すのは、私がウルダハの裏通りで暮らす孤児だったころ、初対面のロロリト会長から大量のギルを渡された日のことでございます。会長は「目利きの小僧がいると聞いて来た。1日でそのギルを倍にしてみせろ」と仰いました。相手が誰なのか理解しておりましたので、素直に倍額にしてお返ししたところ、会長は私を東アルデナード商会へと招いてくださったのでした。逸話の娘のように欲に目がくらみ、大金を手に豪遊していたら……どうなっていたのやら。", "Icon": "70518", "Image": "70418", "Name": "欲に負けた娘"},
    "19": {"Description": "　月が雲隠れした、ある晩のことでございます。夜回りの侍たちが暗い通りを歩いておりますと、遠くに提灯の明かりが見えたそうです。こんな夜更けに誰かいるのだろうかと思い、彼らは近づいていきます。しかし、そこに人影はなく、火の灯った提灯だけがぽつんと置かれておりました。不審に思いながらも、火事になっては困ると侍が提灯へと手を伸ばしたとたん、周囲に無数の鬼火が浮かび上がったではありませんか。怖れおののく侍たちを後目にあざ笑うかのような声が響いたかと思うと、今度は何事もなかったかのように明かりが消え、辺りは暗闇に戻ったのでした。\n\n　これはひんがしの国に伝わる、一般的な「バケチョウチン」の物語でございます。大抵の場合は人を驚かせただけで終わる存在ではありますが、六根山で現れたものは襲いかかってきましたから、少々意外でした。トキモリさんによれば、高僧が代々使っていた品とのことでしたので、侵入者である我々から聖浄院を守ろうという意思が働いたのかもしれません。そして、物言わぬ提灯に戻ったそれを改めて調べてみたところ、東方の文字で「宵闇に灯る標、火の神の祭事に従い、黄金の道を照らせ」と記されておりました。この言葉が何を示すのか、少々気になるところではございます。", "Icon": "70519", "Image": "70419", "Name": "提灯お化けが照らす先"},
    "20": {"Description": "　六根山近くのある農村で、働き者の青年が畑仕事に精を出しておりました。そんな彼の手を止めたのは、誰かの大きな叫び声。顔を上げたところ、不気味な獣が村民を今にも襲おうとしているではありませんか。近ごろ、いくつもの村落を荒らしては人を食らう獣についての噂を耳にしていた青年は焦ります。このままでは仲間の命が危ない……彼は勇気を出して獣に農具を投げつけたのです。すると見事、急所に命中し、怯んだ獣はあっという間に、お山のほうへと逃げていきました。この出来事をきっかけに、厄除けと豊作を祈願して、獣に見立てた藁束に農具を投擲する祭りが村に根付いたと言われております。\n\n　それはそうと、今回持ち帰ってきた農具ですが、驚いたことに「ナナクサ」と銘が刻まれておりました。この人物、刀鍛冶として知られているのですが、若いころには地元の農民たちに仕事道具をこさえることで生計を立てていたとか。ロウェナ商会お抱えの鍛冶師が、日々、酒代のツケを払うためにヤカンを打っていると聞いたことがありますが、それと似たようなものでしょうか。ちなみにナナクサに関しては様々な逸話が残っていますが、たいそう「四聖獣」を好んでいたそうで、立派な彫像を鍛冶場の四方に飾っていたと聞いたこともあります。", "Icon": "70520", "Image": "70420", "Name": "働き者の勇気"},
    "21": {"Description": "　ひんがしの国の各地には、地震を鎮めるため「要石」なるものが配されています。我々が訪れた六根山にも要石があり、次のような逸話が残されているそうです。あるとき巡礼の武人が要石に手を合わせていると、突如として身体に農具が刺さった奇妙な獣が現れ、襲い掛かってきたとのこと。とっさに応戦した武人が愛用の「薙刀」を突き刺したところ、獣はのたうち回って要石に激突……すると不吉な地鳴りが響き渡ったそうです。まさか大地震が起こるのではと驚いた武人が得物から手を離すと、獣は薙刀が刺さったまま一目散に逃げていったそうです。のちに武人が、獣の血で汚れた要石を拭うと地鳴りが収まり、それ以上の災いは起きなかったのだとか。\n\n　この逸話には諸説あり、武人が獣を討ったとするものや、獣の不気味な鳴き声が地鳴りを引き起こしたというものもございます。ひんがしの国は古くより地震が多い土地柄であるためか、災いを神格化したような異形の存在と戦う物語も多いようですね。実際、シャーレアン魔法大学の研究者の中には、要石は一種の魔器であり地脈の結節点に配置することで、その流れを安定化させる効果があると大真面目に主張している方もいるようですよ。", "Icon": "70521", "Image": "70421", "Name": "武人の誉"},
    "22": {"Description": "　その日、六根山の奥地で修行僧が瞑想に耽っておりました。風はなく、葉擦れの音すら聞こえない静けさのなか、ふいに聞こえてきたのは草を踏みしめる音。誰かが自分に用でもあるのだろうかと思った僧が目を開くと、そこには農具と薙刀が刺さった怪異の姿があったのです。それが瑞獣ヌエの王とされる「獅子王」であると気づき、僧は錫杖を手に構えました。手負いの獅子王は懸命に生きようとしていましたが、これまで多くの人を襲ってきた怪異を野放しにするわけにはまいりません。僧は激しい攻防の末に錫杖を突き立てると、獅子王を岩石へと封じました。のちに僧は、この封印を監視するために「聖浄院」を開いたとも伝えられております。\n\n　錫杖とは単なる杖ではなく、音によって魔を払い、ときに脅威から身を守る得物にもなり得る品。かの僧のように戦うことができない私でも、身体を支える役割には使えたはずですから杖の一本でも持っていけば、もう少し楽に六根山を登り切ることができたのかもしれません。とにもかくにも、体力なき私でもどうにかなる程度の冒険で済んでよかったとも思います。もしも此度の探索で、積み上げられた木箱や絶壁をよじ登るような事態となっていたなら、お手上げ状態になっていたところです。", "Icon": "70522", "Image": "70422", "Name": "修行僧の封印術"},
    "23": {"Description": "　あるところに、若くして愛する妻を亡くした陰陽師がおりました。離別の悲しみが癒えぬまま彼が年老いていくと同時に、ふたりの婚姻にあわせて植えた桜の木もまた、年々つける花を減らしていきます。せめて、思い出の桜だけでも健やかであってほしいと、彼は切実に願いました。すると、彼と同じく陰陽師であった妻が生前に作った形見の「土偶」が輝き、桜の木を若返らせてみせたのです。妻に慰められているように感じた彼は心を持ち直し、その桜の面倒を見ながら余生を過ごすと、満開の花に寄り添うようにして穏やかに生涯を終えたと言われております。\n\n　桜と聞いて思い出されるのは、我々の前に立ちはだかった「ヨザクラ」という忍者のことでございます。彼女は「花隠れ」と呼ばれる一族の末裔として育ち、花を扱う特殊な忍術を継承した手練れであったと、ツバキさんは仰っていました。どうやら、ウズミビ様が六根山へ派遣した臣下のひとりであったようです。トキモリさんのお話によると、騒動のさなかで人々の避難に助力していた彼女は、逃げ遅れた稚児をかばい、怪異に殺されたそうなのですが……その亡骸を何者かに操られでもしていたのなら、何とも痛ましいことです。", "Icon": "70523", "Image": "70423", "Name": "願わくは花の下にて"},
    "24": {"Description": "　「大煙管」は、持ち主を幸福に、あるいは不幸にするという、相反したいわくが長く語られておりました。しかしながら、実際にはそのような力を宿しておらず、手にした誰もが、己に降りかかる幸不幸の理由を大煙管に求めたにすぎなかったのではないか、私にはそう思えてなりません。かような「眉唾物」であっても、ゴウライの底知れぬ物欲と、六根山の豊かな霊力が加われば、付喪神を宿すに足るというわけです。さて、それを手にしたゴウライは、最期の瞬間まで愛する骨董品に囲まれて、幸福だったのでしょうか。それとも、欲を満たしきれぬまま怪異と成り果てて、不幸だったのでしょうか。\n\n　結局のところ、幸福か不幸かなど、「気の持ちよう」で左右されるものだと私は考えております。現に、孤児という私の生い立ちは、一般的には不幸な部類なのでしょうけれども、私は自分を不幸だと思ったことなどございません。むしろ、その幼少期に商いを学び、多くの人や物と出会い……積み重ねてきたすべてを振り返ってみれば、「そう悪くない半生であった」と感じるのです。これまで己の幸不幸を測るような真似はしてきませんでしたが、少なくとも今の私は幸福であると言えるでしょう。", "Icon": "70524", "Image": "70424", "Name": "骨董品「大煙管」"},
    "25": {"Description": "『妙なヒトが、グハーシャヤみたいな動く木像をけしかけてきて、すごく怖かっただす！』\n\n\n\n　動く木像と聞いて、最初はゴーレムの類が浮かんだ。東方地域では、木製の絡繰りゴーレムが戦闘に用いられていると聞いたこともある……なんて、疑問をぶつけたところ、カリカが答えをくれた。アロアロ島には、かつての住民によって生み出された「クアクア」と呼ばれる一種の使い魔のような存在が遺っているという。おそらく、動く木像の正体はクアクアだろうとのことだった。ほかにもクアクアに類する存在が島には残っているようで、不用意に触れようものなら敵対行動をとる可能性があるから、見かけたら気をつけたほうがいいという。\n\n　南洋諸島が発祥の「巴術」において、宝石は「物質と生命の中間的なもの」とされている。だからこそ、使い魔の核として宝石が使われているのは、広く知られていることだ。そんな宝石と同じく、考えようによっては木材もまた「物質と生命の中間」と言えなくもない。つまり、宝石の利用が進む以前の古式巴術においては、木材を核とした使い魔作りが一般的だったということだ。そんな遺物をけしかけてきたというのだから、マトシャたちを襲った「妙なヒト」は、巴術の心得のある人物だったのだろう。", "Icon": "70525", "Image": "70425", "Name": "使い魔と襲撃者の正体"},
    "26": {"Description": "『アロアロ島は自然豊かで、周辺の漁場もサベネア島に負けず劣らずで……なのに、どうして誰も住んでいないんだすか？』\n\n\n\n　アロアロ島は美しい島だけれど、土地が狭く環境の変化が起こりやすく、天然資源も限られている。そうした環境は、得てして自然災害に弱いものだ。歴史上、無人化と入植が繰り返されてきたという話も頷ける。\n\n　カリカがかつての島民から聞いた話によると、確認できる最古の住民は第四星暦末期には、あの島で暮らしていたらしい。でも、大氷雪時代とも呼ばれる第五霊災が到来すると、彼らは島に神子像を遺してこつ然と姿を消す。痕跡はあるのにその正体はまるでわからない、いわゆる「忘れられた人々」だ。\n\n　時は流れ、第五星暦時代に住み着いた人々は航海術を得意としていた。のちにその一部がバイルブランド島まで渡り、「ニーム」という都市国家の建国に関与することになる。しかし、第六霊災でニームが壊滅すると、アロアロ島まで子孫が逃げ延びてきたという。そして第六星暦時代には算術を発展させて、その一部がふたたびバイルブランド島へと渡り、「巴術」を広めたりもした。結局、100年前の海底火山噴火で再びアロアロ島は無人となったけれど、「歴史は繰り返す」なんて言うから、いずれまた入植が行われるかもしれない。", "Icon": "70526", "Image": "70426", "Name": "アロアロ島の入植者たち"},
    "27": {"Description": "『遭遇した巨大なクジラは、サベネア織みたいな綺麗な色で……でも、とんでもなく凶暴で恐ろしいやつだっただす』\n\n\n\n　南洋諸島には、空を飛ぶクジラにまつわる伝承が今も伝わっているという。特に「ショックモー」という名が有名だが、カリカによればアロアロ島では「ケトゥドゥケ」と呼び、神の使いとして彫像を祀っていたらしい。つまり、マトシャたちが遭遇したのは、その「ケトゥドゥケ」だったのではないかというのだ。そう聞かされたマトシャは、神様の使いを倒してしまってよかったのか、何か悪いことが起きてしまわないかとオロオロしていた。これに対してカリカは、祟りが心配ならクジラの彫像に祈りを捧げるようにと提案していたので、マトシャたちのために手順を書き記しておこうと思う。\n\n　まず、神々の彫像が並ぶ場所を見つけたら、クジラの彫像の前で「水平線を渡る神よ」と唱えることで、祝福が得られるという。そして、神々の彫像を時計回りに1周、続けて反時計回りで1周巡り、クジラの彫像の前で踊りを披露することで、祈りの儀式は完了するそうだ。細かな作法こそ違えど、自然界の動物を神聖視する信仰は、多神教のサベネアとも少し似ているように感じられた。", "Icon": "70527", "Image": "70427", "Name": "海と空を巡る神"},
    "28": {"Description": "『すごく引きの強い魚だったから、漁師であるオラにとっても激しい戦いになっただす！』\n\n\n\n　マトシャが釣ってきた「ドラコバラクーダ」は、餌から得た毒素を体内に蓄積させる特性があるから、食用には向かない魚だ。生来の有毒生物ではないから、食べられる個体がないわけではないけれど、危険を冒してまで挑戦するような人は……いや、効能を調べるために、無謀にも未知の素材を口にして命を落とす錬金術師だっているぐらいだから、この魚を食べようとする人がいてもおかしくないか。とにかく幸いにも、この魚はデミールの遺烈郷に保管されている錬金素材の図録に記載があったから、僕は無茶な冒険を回避することができた。\n\n　どうやら、ハンサの毒腺から得られる毒液と同様、この魚が蓄える毒も錬金素材として使えるようだ。自然を豊かにする力のおかげで餌も多かっただろうから、たっぷりと毒を抱え込んでいそうだ。さらに、カリカが教えてくれた話によると、かつての島民たちは、毒を持った海藻や小魚を餌として食べて処理してくれるこの魚に感謝していたのだとか。釣ってしまった場合は、お礼の言葉とともに海へと送り返していたみたいで……持って帰ってしまって、よかったのかな？", "Icon": "70528", "Image": "70428", "Name": "毒食みの魚"},
    "29": {"Description": "『途中に咲いてる赤い花がすごく目立つぐらい、緑でいっぱいの場所だなぁ……って眺めてたら、進んだ先で木彫りの不思議な人形に遭遇して驚いただす！』\n\n\n\n　今から100年ほど前、アロアロ島の近海で海底火山が噴火した。津波が押し寄せた上に、噴煙によって長期間にわたり日光が遮られ環境は激変、当時の島民は住み慣れた故郷を離れるという苦渋の決断を迫られたという。津波の被害を運良く逃れた船も、噴火で生じた大量の軽石に阻まれ、島を出るのもひと苦労だったようだ。\n\n　さらに、アロアロ島には算術を用いた研究記録や、その後に成立した巴術にまつわる魔道書など、大量の成果物であふれかえっていた。それらをすべて持ち出すことは困難だったようで、マトシャたちが遭遇した木製の人形「ララ」を筆頭に、置いていかざるを得ないものは少なくなかったのだとか。ララは現存していたようだけれど、書物の類はほとんどが自然に呑まれ、月日が流れていくうちに跡形もなくなってしまったのだと、カリカが言っていた。\n\n　今やアロアロ島は無人だけれど、南洋諸島には現在も人が暮らしている島がある。そういった有人の島には、避難の際に持ち込まれた資料や文献が今もなお残されていたりするのかもしれない。", "Icon": "70529", "Image": "70429", "Name": "算術と巴術の痕跡"},
    "30": {"Description": "『サベネア島にも大きな樹はあるけど、あそこまで巨大なのはないだす。あれも、自然を豊かにする力の影響……？』\n\n\n\n　その巨大な樹は、カリカが生まれたときにはもう、アロアロ島に在ったのだとか。その周辺には算術を志す島民たちが集まり、ひとつの集落を形成していたようだ。彼らは「神子の宝玉」が持つ「自然を豊かにする力」の秘密を算術的に紐解こうと、日々研鑽を重ねていたという。その研究の副産物として生み出されたのが、大樹に刻まれている「魔紋」の数々。カリカの話で気になったのは、魔物の血からエーテルを取り出して植物の成長を促すという魔紋だ。魔物4体分の血があれば大樹の枝を伸ばすこともできるというから、活用できれば新しい道を拓けるかもしれない。\n\n　でも、宝玉の力を調べていたのなら、それを持つ神子像が置かれた「祭祀場」を拠点としなかったのはなぜなのだろうか。カリカに尋ねてみると、祭祀場には不思議な力……おそらくは、かつての島民である「忘れられた人々」の魔法がかけられていたようで、常に濃霧で閉ざされていたのだとか。その不思議な霧を抑える「魔具」を用意するため、まずは大樹を拠点としていたそうだけれど、居心地がよかったのか、研究が実を結んだあともそのまま大樹に居座ることにしたようだ。", "Icon": "70530", "Image": "70430", "Name": "大樹のもとに集う人々"},
    "31": {"Description": "『木々が生い茂ってる場所なら、カリカみたいに言葉が通じる文鳥がいるんじゃないかと思ったけど、それらしい鳥は見かけなかっただす』\n\n\n\n　その言葉を聞いたカリカは、「人の言葉を話せる文鳥は吾輩だけなのです！」と、誇らしげに語っていた。ただ、普通の文鳥であれば古くより生息しているようで、アロアロ島では信仰の対象にもなっていたという。カリカと仲良くなるきっかけになればと思って、文鳥への祈りはないのかと尋ねてみたところ、渋々ながらも手順を教えてくれた。忘れないように、記録しておこう。\n\n　神々の彫像が並ぶ場所を見つけたら、文鳥の彫像の前で「天空を舞う神よ」と唱えることで、祝福が得られるという。続けて、その場で文鳥の彫像に投げキッスをしたあと、神々の彫像を時計回りに1周巡り、最後に文鳥の彫像の前で踊りを披露するのが祈りの作法だという。カリカに投げキッスをしたら祝福を得られないだろうかと試してみたけれど、カリカは大きなため息をついてそっぽを向いてしまった。悲しい、こんなに僕はカリカのことが好きで、精一杯お世話もしているのに。もっと美味しいご飯を用意してあげればいいのか、それともめげずに毎日投げキッスをすればいいのか、あるいは……（カリカへの重い愛が延々と綴られている）", "Icon": "70531", "Image": "70431", "Name": "小さな友人に愛をこめて"},
    "32": {"Description": "『まさか樹の中で魚が釣れるなんて……いつもは海釣りだけど、淡水魚との競り合いも面白かっただす！』\n\n\n\n　カリカが言うには、マトシャが釣ってきたのは「フォロカイロ」という魚らしい。かつては、その硬い鱗を乾燥させて磨き上げ、算盤の珠として利用していたのだとか。しかも、焼いて食べるとすごく美味しいうえに、かつての島民たちは「食べると賢くなる」と考えていたらしい。それは本当に頭脳の明晰さに繋がるような効能があったからなのか、あるいは算盤の逸話に紐づけた験担ぎの一種だったのか、錬金術師として大変興味をそそられてしまう。\n\n　マトシャから魚を預かり、さっそく調べてみたわけだけれど……残念なことに可食部はいたって普通の成分しか検出されず、とりたてて重要な発見はなかった。むしろ、この魚は鱗にこそ薬効があり、丁寧にそぎ落として乾燥させることで錬金素材として活用できるようだ。食べて賢くなりたいのなら、鱗を落とさず丸焼きにして食べればあるいは……とも思ったが、鱗はあまりにも硬すぎるし、味も酷いものだ。薬効を期待するなら、鱗を粉末にしてから練り上げて、丸薬として丸呑みにするのがよいだろう。", "Icon": "70532", "Image": "70432", "Name": "知恵の魚"},
    "33": {"Description": "『あの妖精さんのせいで、酷い目に遭っただす。ううっ、もう二度と会いたくない……！』\n\n\n\n　その妖精さんは、「スターチス」と名乗るはぐれ使い魔らしい。カリカも彼女の横暴ぶりには頭を悩ませていたそうで、妙な道具を持ち出して捕獲しようと迫ってきたこともあったのだとか。なんて極悪非道の存在なんだ……どうにか、彼女の罠を避けて進むことができないものか。\n\n　カリカいわく、バイルブランド島の都市国家「ニーム」が第六霊災で崩壊したあと、幾人かの軍学者がアロアロ島へと避難してきたという。そうした歴史を鑑みれば、軍学者の使い魔であるフェアリーが島に渡っていたとしてもおかしくはない。とはいえ、通常ならば主の死によってエーテルの供給が断たれれば、使い魔は形を保てなくなるはずだ。スターチスが独りで活動を続けていたというなら、何らかのエーテル供給手段があったことになる。これも「自然を豊かにする力」と関係しているのだろうか。\n\n　ちなみに、フェアリーのような使い魔を扱う技術は、のちに巴術士の「カーバンクル」を扱う技術の原型となったらしい。逆に遡れば、遥か昔に島で暮らしていたという「忘れられた人々」の木像型使い魔に行きつくというのだから、歴史の繋がりが感じられて、とても興味深いことだ。", "Icon": "70533", "Image": "70433", "Name": "使い魔の歴史"},
    "34": {"Description": "『たどり着いた遺跡みたいなところは、どことなく神聖な雰囲気だっただす。アロアロ島の神々がおわす場所だったのかも……』\n\n\n\n　サベネア島で言うところの、衆園の森にあるプルシャ寺院のような場所だったのかな……と、マトシャの話から想像を膨らませていたら、実際にアロアロ島の信仰にまつわる場所だとカリカが教えてくれた。その遺跡のどこかには儀式場のような場所があり、神々の彫像が飾られているのだとか。たとえば、海の生き物である「海亀」は神聖な存在として崇められていたから、その彫像もあるようだ。漁師であるマトシャは海と縁があるから、彫像を見かけたら海亀の神にお祈りしておくといいんじゃないかとカリカが提案していた。マトシャの安全祈願を手助けするためにも、その作法を記録しておこうと思う。\n\n　まず、神々の彫像が並ぶ場所を見つけたら、海亀の彫像の前で「陸に生まれ海を行く神よ」と唱えることで、祝福が得られるという。続けて、神々の彫像を反時計回りに2周巡り、最後に海亀の彫像の前でお辞儀をすると、祈りの儀式は完了するそうだ。\n\n　神々の彫像は、居住地跡にも点々と置かれていたようだけれど、その並びも含めて意味があったりするのだろうか……ともあれ、アロアロ島はラザハンと同じく、信仰が暮らしに根付いていたことが窺える。", "Icon": "70534", "Image": "70434", "Name": "信仰の名残"},
    "35": {"Description": "『なんだか不思議な魚が釣れただす！　人の顔みたいにも見えて、愛嬌のあるかわいいやつだす！』\n\n\n\n　マトシャとは今後とも良き友人でありたいのだけれど、残念なことに今回ばかりは彼と意見が一致しないようだ。アロアロ島で彼が釣ってきた魚は、正直なところ、僕としては不気味だなと感じてしまう。僕がかわいいと思うのはカリカみたいな子だから、どうやらマトシャとは「かわいさの基準」において、わかりあえないみたいだ。\n\n　さて、そんな旧知の友人との悲しい亀裂はいったん置いておこう。この見るからに奇妙な魚のことをカリカに聞いてみたところ、かつてアロアロ島で暮らしていた人々が「ララウルス」と呼んでいたものらしい。なんでも、「嵐の日に水へと落ちたララフェル族が転じた存在」と考えられていたそうで、この魚のようになりたくなければ、嵐が来ているときに水辺へ近づいてはいけないと、子どもたちに語り聞かせていたという。ララフェル族が転じた存在というのが、万が一にも真実だったとすれば、それを錬金素材として使うのはさすがに人として憚られる。子どもたちへの訓えとして生まれた作り話だと信じたいところだけれど、なんとも複雑な心境だ。", "Icon": "70535", "Image": "70435", "Name": "ララフェル族だった魚"},
    "36": {"Description": "『サベネア島では見たこともない、立派な黄金色の魚が釣れて……！　これはもう、アロアロ島の「ヌシ」に違いないだす！』\n\n\n\n　かつてアロアロ島では、幼児のあいだで熱病が流行ったことがあったという。その折、祭祀場で釣れた魚をつみれ汁にして、病に伏した子どもに食べさせたところ、たちまち回復したのだとか。しかも、それ以降は病を患わず、健康に成長していったという。以来、島で新たに赤子を授かると、祭祀場で釣れた黄金色の魚「ゴンベッサ」のつみれ汁を食べさせるのが習わしとなったそうだ。神子像の祭祀場は宝玉の力が色濃く表れやすいようで、この魚の効能も増しているものと推測できる。錬金素材としての価値も極めて高いということだ。\n\n　マトシャとは幼少の頃からの付き合いなのに、仕事が違うこともあって、協力してひとつのことに取り組むような機会は長らくなかった。今回、彼と行動を共にできて、カリカというかわいい友人もできたし、珍しい錬金素材の分析もさせてもらえて、嬉しいことばかり……この手記も、マトシャたちの役に立てばと思って書き始めたものだけれど、気づけば思い出の一冊となった。きっかけを作ってくれたカリカとマトシャ、そしてアロアロ島への来訪を実現してくれた、かの冒険者殿に心から感謝を。", "Icon": "70536", "Image": "70436", "Name": "黄金色に煌めく思い出"}
}
